所詮はチラ裏2

自分メモです。

Moses

先日、ライブで見た「Moses」が私的に凄かったので見て思ったを書いておこう。

といっても、もう大分日にちも経ってしまったし、色々聞き比べていたら考えていたことと乖離してしまったかもしれないけど、まぁ現時点で。

 

 luin『negafilm』trailer

叙情さが溢れるメロディに、どこか懐かしい高音の歌声が心地よく、揺れながら淡々と進んでいく。突如泥臭くうねるリズムの変化に奪われるが、ピアノのストリングスが入り、より一層その旋律と吟声に胸を掴まれる。

今までを総括するようなディレイたっぷりのギターソロを堪能すると、リバーブかかった異空間へと浮遊する。

いわゆる二番でAメロ~からサビまで戻るが、一番では入ってなかったオーケストラの導入は更にその世界を引き立たせ豪華に、そしてより感情が昂ぶる。クラシカルの美しさと、メロディの叙情さ、歌声の耽美さと切ない叫び…個性が反するものの差、それが同居するのが最大の魅力。それはある種ゴシック・ロック(メタル)のようにも感じられる。

悲痛さはどんどん重なっていき、最後にはとうとう限界を突破していく様は圧巻。ギターを道連れにした悲鳴はまるで世の果てのようで、ピンクフロイドやキングクリムゾンの彷彿させるアヴァンさが浮かぶ。今まで見ていたのはプログレ…??頭に過っていたのを束の間、曲展開でいたあのリズムが戻ってくる、まさか生きていたのか!最後まで異色だったダウナーさとオペラとも化した感情表現をも一体化し、全てを飲み込んで昇天。まるで前衛芸術を見ているようだった、、、

 

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そして、初めてライブで聞いてなんだこれは…?と思う中で、思ったキーワードとそれに付随した曲がいくつか思い浮かんだバンドがあったのでメモ。ほぼサビの部分だけだし、かつ自分が好きなもので今思えば全然違うかもだけど悪しからず。

●個人キーワード
サウンドエフェクトとして、オーケストラ(クラシカルな)要素
②歌声が高音
③陰鬱(時に叙情)な音の構成、耽美性から感傷的なものへの差異と感情のむき出し

 

1、Muse / New Born

 

Muse - New Born
英国の3ピース・ロック・バンド、2001年発2nd「Origin of Symmetry」
ピアノでクラシカルな静かなるイントロから、徐々にスイッチが入っていき、高みに向かっていく様がいつ聞いてもかっこいい。
サビのウェットな歌声と持ち味の高音ヴォイスが混ざった所が頂点なんだけど、その部分の姿勢というかスタイルが似ているかなぁと。あとは通常時の声のヴィブラートのかけ方とかも。「Space Dementia」も同じようにいい感じです。

 

あとは後で聞いたら部分的にも似てなかったのでおまけです(でも超好き)

2、FLESHGOD APOCALYPSE / The Violation

 

FLESHGOD APOCALYPSE - The Violation (OFFICIAL MUSIC VIDEO)
イタリアのテクニカル・デスメタルバンド、2nd。
音楽の国らしいクラシックの荘厳さと、超絶技巧のデスメタルを暴虐さを掛け合わせた唯一無二の美しきテクデスとして一世を風靡したバンド。もうすぐ新譜と来日があるらしい。2014年?の初来日行ったなー。テクニカル・デスメタルというジャンルをこのバンドから私は聞き始めたんだった。
イントロから聞くとテクデスすぎて笑っちゃったんだけど、サビの壮大なピアノを背にベースが歌う悲痛な叫びはどこか通じるものがあると思ったんだ。


3、Igorrr / Infinite Loop

Igorrr - Infinite Loop
フランスのブレイクコアデスメタルバロック~ジャングル~クラシック~トリップホップをごった似のよくわからん音楽家
クラシック要素以外は脳内で消してくれ!この女性ヴォーカルのオペラの美しさはもちろん、叫喚が好き。クラシックものによくわからんものとの融合が面白く、女性VOも上手く乗っており悲劇さや発狂を感じる。

 

Igorrr - Absolute Psalm

Igorrr - Absolute Psalm
しょっぱなからの絶叫からよく分からん打ち込み~ジャズ展開など全て終わったあとの叫びが本当に痛々しくて…、後ろで流れるオルガンと聖歌隊も形も少し違うけど、同じ匂いがする…

 

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一番の魅力と思っているクラシカルなシンセサイザー音と荒涼な構成に重きを置きながら、オペラ風ソプラノの耽美さ。陰と陽の差、美しさと切なさを同時に、時には別々にある状態が素晴らしくて、一種のゴシック・ロック(メタル)からの影響や要素があるのでは?と考えている。
本来なら陰鬱な雰囲気(クリーンVOだったりなかったり)に、ここで憂鬱で重々しいグロウルなんか入って、抑鬱さや重みの差だったりが本来の大元のゴシックメタルだと思うけど、まぁ、入ってないゴシックバンドもあるし、これはそういうバンドではない。

 

あと、3回も登場する転換の太いリズム。重さとテンポ、アクセントの位置などどうもドゥームが挟んでいるように聞こえるんだよなぁ。曲のポイントとして入れたまでに過ぎないと思うんだけど、ゴシックメタルドゥームメタルの派生なので異色に聞こえるけど実は理にかなっていると思っている。

 

あと、最後のあぁ~からクライマックスの部分。
あぁ~は日本人にはジュリーの「勝手にしやがれ」に近い?
楽曲的にはプログレ要素はないとは思っているけど、もう世界の終焉のように感じられて、あぁ~ってなってしまう嘆き。


pink floyd / The Great Gig in the Sky

 

[HD] Pink Floyd - The Great Gig In The Sky


king Krimson - 21st Century Schizoid Man
king Krimson - 21st Century Schizoid Man

 


ただ、自分はクライマックスに向けて徐々に厚みを増す様、また美しさと切なさの差等々至極だと思うけど、これを同じように感じられる人がどれだけいるのかなと(音楽なんで同じ人はいないし、どう感じようが自由だけど)。
個人的にこれまでさらっとドゥームもゴシックも聞いてきたんだけど、本来の音楽的な魅力や意味を今まで理解してなかったように思えて、これによって気づかされたかもしれない。かろうじて書いてみたけど言葉に表せられない切なさだったり、メロディだったりいっぱいある。言葉にしてしまえばチープになってしまうけど、そもそも言葉にすらできない、知らないものはそのまま。それならまだよくて、そもそも知らない、知りえる環境ではない、興味がないって人が大半のように私は思えなくない。
例えば、雑だけどメタルコアのメロは激しく、メロはキャッチーにとか、ありきたりだけど割とわかる人が多い、いわば名刺。そして通貨でもあり、言語。お互いが知りえないと通貨だと買えないし、言語だと通じない、その不便さがある。
しかしながら、あの時のMusesをライブでやり終えて、私や目当てで来ている人以外で見ていただろうお客さんからも沢山の拍手があった。あれが答え。それくらい何か分からんがやばいことがステージで起こっていると思われていた。それはめちゃくちゃすげぇ。

 

やっぱりあんたが大将だよ。